誰がどんな理由でそんなことを言いだしたのか、そんな常識がどこから始まったのか誰も知らない。けれど、絶えることなく語られているマネジメントと人材管理に関した「迷信」があります。マネージャーが自らの良識ではなく、一見常識と思われる一般的な知恵に頼った場合、問題が連続して発生することがあります。マネージメントサービスの「常識」と思われる迷信に惑わされてしまったマネージャーは、現実を間違った方向に導き、急速に自信をなくして周りのスタッフからの信頼も損ねてしまいます。

そうした迷信めいた知恵があなたのマネジメントのスタイルに悪影響を及ぼさないように、この記事では根強く残る5つの迷信と実際の現実に即したアドバイスをご紹介いたします。

迷信1: 昨今の社員は自分の裁量で仕事をやらせた方が最高の働きをする。口出しをしすぎると、器の小さいマネージャーだと影で言われる

現実:自発性は指導とのバランス調整が必要

もちろん、個々の仕事に関して社員が自身で最も有効な方法と手段を考え、実行することは認められるべきです。しかし、サブチームとして参加している社員にガイダンスも与えないまま、主要なプロジェクト(管理)や職務に関与させ仕事をするように望むことは非現実的です。チームには事前に何が求められていて進捗状況をどのように評価するのかを知らせておきましょう。成功を定義し、間違いがどのような結果をもたらしたのかについてオープンに議論し、御社のスタンダードを創り上げましょう。現在進行形でコンスタントにフィードバックをし、適宜ミーティングを行うことでガイダンスを提供することができます。こうすることでご自身を含めあなたのチームが本格的な危機に陥る前に問題を解決することが出来ます。

迷信2:最高のマネージャーは、経験豊富なマネジメント戦略に従っている

現実:最高のマネージャーは、状況に合わせてその職場に合った方法を選んでいる(逆は当てはまらず)

マネジメントに関してひとつの「ビジョン」や「戦略」に捕われるよりも、賢い監督は様々なメソッドの中から適応する方法を選んでいきます。さまざまなアプローチを試す柔軟性を持つことで、うまくいっていない事例に対しては変更や却下をしていくことが可能です。人生におけるその他数多い事例と同じく「習うより慣れろ。」これがマネージャーに取って必要です。学んだことを実践することによって、特定の社員と特定の職場という環境の中で何がうまくいき何がうまくいかないのか見出すことが出来ます。

迷信3:社員に空席がでたら、即座に代わりの正社員を雇うこと

現実:空きを埋めるのではなく、何が求められているのかを見つめ戦略的な雇用を検討すること

正社員が退職をした場合、次のリアクションとしてはその欠員を埋めるために他の正社員を募集することを検討します。この選択が最適な場合もしばしばありますが、募集を始める前に少し離れて考えてみましょう。そのポストに関して、全体的な最近の動向やプロジェクトで既に配置されたスタッフのニーズ、人材管理戦略等を再度評価検討してみましょう。空いたポストの職務は本当に重要なものだったのか?その仕事を分散して実行することが難しいのであれば、新しい臨時スタッフや契約社員を入れてその分の業務をカバーするというオプションもあります。

迷信4:優れたマネージャーは全ての社員を同じように扱う

現実:優れたマネージャーは全ての社員を公平に扱う

全ての社員は同じように扱われるべきだと考え、社員個々の技術や力量、不足している部分やワークスタイルは考慮しない、というマネージャーがいます。しかし調和した職場環境を生み出さないこのアプローチは、社員のモチベーションを下げる結果を招きます。又、生産性にも人材管理の視点からも不都合な影響を及ぼしてしまいます。そうではなく、敬意、プロフェッショナリズム、礼儀正しさをもって社員を公平に扱いましょう。自分のマネジメントスタイルを個々のニーズに適応させるようにしましょう。

例えば、必要がある者に対しては追加の指導を加えましょう。また反対に、優秀な社員にはプロジェクト管理などもっとやりがいのあり仕事を任せ、スキルを伸ばして会社にとって有益な人物に成長するよう促します。

迷信5:権限を委任するマネージャーは質と結果に対するコントロールを失う

現実:権限を委任することで、社員の能力を最大限に発揮し、自分は自身の専門性を生かして処理できる仕事に集中することが可能になる

スタッフに何の権限も委任していないのであれば、それはマネジメントしていることにはなりません。ゴールを設定し目的と求められる成果を明確にすることがマネージャーの仕事です。正しく運営されていれば、権限の委任をすることで自分自身は採用、マーケティング、又は新商品の開発等もっと高いレベルの責任を果たすことができます。

又、委任することは社員が成長し新しいスキルを身につけるチャンスを促すための最高の方法です。委任することでリスクは明らかに上がりますが、大きな仕事を任せられるような信用のおけるスタッフを育てることができなければ、自身のマネージャーとしてのより大事な任務を果たすことはできないでしょう。

賢いマネージャーはよくあるマネジメントの迷信を避けると同時に、どんなに素晴らしいテクニックであったとしても永久にそれが有効であり続けることはない、毎回通用するわけではないことを理解しています。考え抜かれたアプローチを柔軟に使い分け、会社のゴール、競争的なポジション、チームの構成を配慮して行動していくことが大切です。