カウンターオファーを提示する前に考慮すべき5つの点

カウンターオファーを提示する前に考慮すべき5つの点

時に社員が転職しようとするのは、避けがたいことです。しかし、優秀な社員を留任するために、カウンターオファーを提示するのは最善の策といえるでしょうか。その答えは、こちらの記事にあります。

雇用主は、優秀な人材(すなわち、リーダーシップの素質があり、会社に最大の付加価値をもたらす社員)に長く働いてもらうことの重要性を理解しています。社員の退職は、会社にとって大きなコストとなり得ます。後任者を採用しなければならないだけでなく、技能損失、仕事の生産性や処理量の低下が生じてしまうためです。新しい社員が加わった後も、前任者のレベルに到達するまでには、しばらく時間がかかることでしょう。

社員を引き留めるためのカウンターオファーは、多くの場合、雇用主にとって「最後の切り札」とされています。昇進や昇給を約束することで、退職願を取り下げるよう説得できると考えるからです。カウンターオファーは素晴らしい一手と思えるかもしれませんが、実際はポーカーで言うところの「フラッシュ崩れ」で終わってしまうことがほとんどです。ロバートハーフが企業の上級管理職を対象に行った調査によると、回答者の65%が、カウンターオファの提示の増加を認めています。そこで、カウンターオファーが有効な手立てとはなり辛い5つの理由を以下にまとめてみました。

1. 長期的な解決策ではない

優秀な社員に長く勤めてほしいと思うのであれば、最初から水準以上の給与と手厚い福利厚生を提供し、明確なキャリアパスを示して、頻繁に社員の働きを認める必要があります。辞めると言われて初めてこのような待遇を提示しても、その効果はあまりに弱く、遅きに失する可能性が高いでしょう。転職先を探し始めた時点から、すでに社員の意識は変わり始めていて、その結果、最終的には退職を決意してしまうのです。カウンターオファーを受諾したとしても、おそらくは、転職活動を再開するまで長くはかからないでしょう。

2. 悪しき前例を作ってしまう

社員を引き留めるため寛大なカウンターオファーを出したとなれば、その噂はすぐに広まります。辞めようと思っている社員全員の報酬を引き上げることは可能でしょうか?中には再交渉の手段として、転職市場をチェックし始める社員も出てくるかもしれません。その社員がどこかで内定の提示を受けようものなら、それはより良いチャンスを外で得たことを意味します。その社員は現在の雇用主、つまりあなたから、最低でもより良い条件の提示を取り付けることができるでしょう。

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3. 士気を著しく低下させる可能性がある

カウンターオファーを提示すれば、特定の人物を特別扱いしていると感じる社員が出るかもしれません。そうなれば、あなたが手を尽くして引き留めようとした社員のことを、他の社員が嫉妬するようになり、職場に緊張と反感をもたらしかねません。

また、あなたの注意を引くためには、一生懸命働き貢献するよりも、退職をほのめかす方が効果的だと解釈する社員もいるかもしれません。その結果、社員は自分のパフォーマンスを気にもかけなくなり、待遇の改善を狙って次々と「退職願」を提出してくる可能性があります。

4. 信頼が失われる

社員の引き留めに成功したとしても、その社員を再び信頼することはできるのでしょうか。残留すると聞いた時にあなたが抱いた最初の感想は、安堵かもしれません。でも、その社員との関係には取り返しのつかないひびが入ってしまっている可能性があります。

その社員が、あなたの対応をありがたく受け止めるという保証すらありません。その社員にとって、昇進や昇給はもっと前にあって然るべきものであったのならば、当然の処遇だと捉える程度でしょう。

5. パフォーマンスは向上しない

社員の給与を上げればパフォーマンスが向上するということを示唆する証拠はほとんどありません。カウンターオファーを提示されることで、自分は会社にとって欠かせない人材なのだと社員が思い始めれば、今以上に努力しようという意欲を持つことがなくなります。実際、自分の持つスキルと経験ゆえに代わりの利かない人材なのだと思い込む社員は、「クルーズ・コントロール(一定速度維持機能)」モードに入ってしまう危険性があります。

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まとめ

決して失うわけにはいかない社員が辞めようとしていると聞けば、カウンターオファーを提示する以外に選択の余地はないように感じるかもしれません。しかしこの方法は、短期的な引き留めには役立つかもしれませんが、いくつもの明らかなリスクが伴います。引き留めるメリットがそれらのリスクを上回るかどうかは、その都度、雇用主が判断すべきです。

優れた人材をつなぎ止める手立ては、最初から自分が大切にされていると社員に感じさせること、すなわち、やりがいのある仕事を与え、適切な報酬で報い、キャリア形成をサポートすることのほかにはないことに、疑問の余地はありません。社員に相応の報酬を支給できているかどうかの確認には、ロバートハーフの版給与ガイドをダウンロードし、財務・会計、IT、金融業界の各市場における給与相場をご覧ください。社員が転職を考え始める前であっても、御社の給与体系が転職を後押しする要因になり得るかどうかを見極めることができます。

カウンターオファーは、社員を引き留める唯一の方法ではありません。人材の雇用維持と社員からの忠誠心を長期に亘って確保するには、うまく対処することが何よりも重要です。

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