社内ベンチャーは、成功する企業の必須要素であり、多くの場合、アイデアを出し合うところから始まりますが、従業員からクリエイティブな思考を引き出すのは容易ではありません。ロバート・ハーフの調査では、組織の現状打破を妨げる最大の要因は新しいアイデアの不足であることがわかっています。

今回はそうした要因を解決し、社内ベンチャーを促進してチームの創造性を高める方法を、以下に6つ、ご紹介します。

1. 従業員の意欲を引き出す

そもそも、従業員が自分と会社とのつながりである「従業員エンゲージメント」を感じていなければ、革新的になろうという意欲も起きません。会社の戦略や課題について最新情報を共有し、議論に参加してもらいましょう。プロセスや計画に早期から参加すれば、最後までやり遂げる気になるはずです。また、計画について人から聞くよりも、積極的に参加したほうが、多くのアイデアが生まれます。

従業員に、決断を下したり、行動を起こしたりする権限を与えることも重要です。会社の信頼を得て、適度なリスクを取ったり、新しいことを試みたりすれば、すばらしいビジネスソリューションを発見できるかもしれません。しかし、期待どおりでなかったからと言って失敗を批判しすぎないように注意してください。従業員は敏感です。批判の的になりたい人はいませんから、失敗したときのことを心配して意見を出すのを控えるようになるでしょう。

2. 一方通行の議論を避け、アイデアを出しやすく

マネージャーとしては、「従業員に彼ら自身のアイデアを提案してもらうことなど簡単だ」と思うかもしれません。本当にそうでしょうか? 上司が常に自身の周りに壁を築き、会議も一方的な議論となりがちであれば、意図せずとも従業員たちは自分たちの意見は歓迎されないと解釈します。自分のスペースも他の幹部のスペースも、できるだけオープンにし、従業員の意見が常に尊重されることを伝えましょう。会議では双方向の議論を心がけてください。イントラネット、ブレインストーミング、昔ながらの意見箱も、従業員の意見を求めるのに役立ちます。

社内ベンチャーの芽を摘んでいるものがないか、企業内の手続き制度を見直し、形式主義はできるだけ排除しましょう。例えば、一つの提案について何度も承認を受ける必要があり、その間に立ち消えになったり、実行に移されるまでに長い時間がかかったりするような状況は、従業員の士気を低下させます。手続きを合理化する方法を模索し、良いアイデアがすぐに実行される例を示しましょう。

3. 職場内の競争を考え直す

売上目標を達成するなどの目的には、従業員同士の競争を促進することも効果的です。しかし、社内ベンチャーを活気づけたいあまり、職場内の競争を激化させないよう注意してください。従業員が報酬を目標に働いている会社では、自分のアイデアが盗まれることを恐れ、公の場で意見を述べたがりません。

逆に、チームワークの価値をアピールしましょう。例えば、新しいプロジェクトを始める際は、従業員をペアにして、プロジェクトのさまざまな面についてアイデアを出してもらうようにします。率直なコミュニケーションを奨励し、チーム第一の雰囲気を作ってください。

4. 否定論者を抑える

従業員が斬新な提案をためらう大きな理由の1つは、他人の反応が怖いことです。自分のアイデアがすぐさま否定されたり、冗談の種になったりするのは嫌なものです。安心して意見を出し合える環境づくりに力を入れてください。非現実的な提案をする人があっても、そのクリエイティブな思考に賛辞を贈りましょう。

口に出して意見を言いたくない人が書面で提案できる制度も設け、どんな形でも意見やアイデアを歓迎するという姿勢を、スタッフ全員に示しましょう。

5. 負担を減らす

週に60時間働く生活を何か月も続けている従業員が、基本的な業務をこなす以外に、あまり顕著な貢献ができるとは思えません。働きすぎて疲れている人にとっては、当面の仕事をするのが精一杯であり、クリエイティブになる余裕はありません。

燃え尽き症候群を防ぐことを最優先しましょう。在宅勤務やボランティア有給休暇など、仕事と生活の調和(ワークライフバランス)を推進する制度が有効です。全員が元気に仕事に集中できるよう、必要に応じて仕事量を再分配し、ピーク時には臨時従業員の雇用も検討してください。

6. 社内ベンチャーの手本を示す

リーダーは、チーム全体の手本です。自身がリーダーに必要な能力を持ち、仕事でクリエイティブにならなければ、従業員に同じことを期待することはできません。

自分のストレスを減らす対策を実行し、自分をベストの状態にしましょう。緊張しているときよりも、リラックスして前向きな気分のときのほうが、革新的なアイデアは浮かびやすいものです。可能な限り、昼休みは抜かず、気分転換が必要なときは散歩に出かけてください。

最後に、従業員の能力やスキルをよく検討しましょう。最近、従業員のトレーニングや教育を支援したことはありますか? 従業員が革新的なアイデアを生み出すためには、最新の知識や専門技能を与えるなど、準備や手助けが必要です。適切な管理とサポートを与えれば、会社にさらに大きく貢献するだけでなく、よりよい職場を作ってくれることでしょう。