日本国内において、伝統的な教育制度の中で優れたソフトスキルと自信を持ち、しかも国内外の有名なビジネススクールを卒業した人材を財務・会計の分野で探すことは至難の業である。

面接の過程で会社にとって有望な人材を見分けるためには、まず現在の事業環境において自社にどのようなスキルが不足しているのか考えてみなくてはならない。

時代は変わったのだ。

求職者は、もはや終身雇用を期待していないかもしれない。キャリアに対する考え方も変わり、小さくても活力に満ちた企業で出世したいと考える若者も増えた。例えば、ベテラン社員と比べて日本の若い世代は目標達成においてより自主性を好む傾向がある。ちょっとしたアドバイスで済むことに、うっかりマイクロマネージメントしてしまうと、やる気を喪失させてしまいかねない。企業が求職者にとって魅力的でないとすれば、今が対策を考える絶好の機会だ。

財務・会計の能力に長け、事細かな報告ができる人材だけに焦点を当てていては、十分とは言えない。有望な人材、特に幹部候補に対しては、いかに彼らをキープし、その能力を開発していくのか、計画を練る必要がある。外資系を検討している日本人がよく聞くことの一つに、その会社においてオンザジョブ・トレーニングの他に能力開発の機会があるかという質問がある。また、現在多くの大手日本企業が導入している準公式的なキャリア開発プログラムの有無についての質問もある。

こうした求職者の旺盛な向上心を満たす方法として、既存の教育機関を最大限に活用し、財務や会計スキルの他にプラスアルファのスキルを学ばせることができる。最近の日本の大学では、組織の公用語が英語である人材を対象に幅広いソリューションを提供している。こうした研修プログラムは、新入社員や若手社員へのトレーニングだけでなく、管理職や幹部を対象とするコースもある。

その他にも、人事部が幹部候補の人材開発において検討するに値すると思われるのが、外資系の社員を対象にした国際的なリーダーシップの研修プログラムである。こうしたリーダーシップのプログラムは、通常ビジネスの三大重要局面に対応している。最初の局面は企業経営に関する課題、第2の局面は人材確保に必要なグローバルおよび地域のリーダーの育成、そして、第3の局面が事業継承計画についてである。

時代の変化に伴い、柔軟性に富み優れた信頼できる企業文化を作り上げることが、今直面しているスキルギャプの問題を打開する糸口にもなる。なぜなら、企業文化が求職者にとって望ましいものとなれば、優秀な人材は向こうから企業の門戸を叩くようになるからである。企業側からそうした人材を捜す必要もなくなるのだ。