アジア全域の経済成長が、財務・会計のプロフェッショナルに対する需要を後押ししています。しかし、日々変化するビジネスデータを分析するスキルは、常に磨き続けなければなりません。最新のビジネス分析スキルとはどのようなものなのでしょうか。

ビジネス分析スキルには、需要の高いものとそうでないものがあります。ビジネスアナリストとしてのスキルを伸ばしておくことで、大きなリターンを得られる可能性があります。

ますますグローバル化している職場では、GAAP(一般会計原則)とIFRS(国際財務報告基準)の知識を欠くことはできません。しかし、ビッグデータとその管理・使用方法の重要性が増しているのを受けて、優れたビジネス分析スキルを持った会計のプロフェッショナルに対する需要が拡大しています。

ビジネス分析で得られる洞察は、これまでは「あれば尚可」の洞察であって、必ずしも不可欠なビジネスインテリジェンスではありませんでした。しかし、それは過去の話です。最近は、ビジネスアナリストとしてリーダーシップを発揮できる財務・会計のプロフェッショナルが、戦略的意思決定をサポートするうえで重要となっています。

興味深いことに、アジアの企業幹部の3人に1人以上、上海のCFOの間では実に44%が、そのニーズを認めていいます。ロバートハーフ・ジャパンの2016年版給与ガイドでは、適切なスキルを持った人材の採用が最も難しい業務分野にビジネス分析が挙げられています。このため、ビジネスインテリジェンスやデータマイニングを包含するビジネス分析スキルは、向上心のある財務・会計のプロフェッショナルにとって習得に値するスキルと言えます。

戦略的アドバイスを提供する財務チームへの依存度が高まっているため、優れたビジネス分析スキルは、財務のプロフェッショナルにとって今後ますます重要となっていくでしょう。大規模な会計システムを使っている会社では、MicroStrategy、IBMのCognos Business Intelligence、オラクルのHyperionといった分析専用ソフトウェアを導入していると考えられます。これらはいずれも、追求すべきビジネスチャンスや解決すべき問題を特定する目的でデータを収集する高度な会計ツールです。

2017年版給与ガイドのダウンロード

ビジネス分析の知識は、アジアの財務・会計のプロフェッショナルがキャリアアップを図るうえでカギとなる可能性があります。企業は、次のような高度なビジネスアナリストとしてのスキルを持った人材を求めています。

ビジネスインテリジェンス:ビジネス分析には、情報収集に使用するシステムを十分に理解している必要があります。この結果、財務のプロフェッショナルにはビジネスインテリジェンスのスキル向上に対するプレッシャーがかかっています。情報システムがどのような構造になっているかを基本的に理解しておくだけでも、ITチームやインテリジェンスアナリストとの連携が容易になります。

データマイニング:未加工のデータを即効性の高い洞察に変えることが、ビジネス分析の真髄です。データマイニングは高い数学力を必要とすることが多々あるため、統計学の素養がある財務のプロフェッショナルは有利と言えるでしょう。

データに基づく意思決定:ビッグデータがもたらす大きな課題のひとつが、入手可能な情報に基づいて意思決定する方法を把握することです。この種の戦略的な責任が財務部門に課されることが増えています。つまり、財務部門のメンバーは、新しい洞察にすばやく反応し、社内の他部署の関係者がビジネス分析の結果を理解したうえで戦略的意思決定を下せるよう支援できなければなりません。

ビジネス分析スキルを向上させるために

ビジネス分析スキルは、データが重視される今日の世の中において不可欠なスキルですが、企業が求める資質は他にもあります。

ロバートハーフ・ジャパンの2016年版給与ガイドでは、オラクルやSAPなどのシステムに関する知識と優れたテクニカルスキルに加えて、CPAの資格を持っていることが雇用市場において有利であるとしています。商業市場はますますグローバル化しているため、英語で関係者とコミュニケーションが取れる能力は、極めて強力な武器となります。

現在フルタイムの仕事に就いていて、ビジネス分析や他のスキルを磨くための時間がなかなか取れないという状況にある人には、会社が支援してくれるかもしれません。日本ではビジネス分析スキルを持つ人材の不足が深刻であることから、多くの企業が、こうしたスキルを現社員に習得してもらうために手段を講じています。ですから、さらなる教育研修の機会を会社から提供してもらえるかどうかを上司に相談してみるとよいでしょう。あるいは、ビジネス分析や他のスキルを伸ばすうえで役立ちそうなプロジェクトに立候補してみるのもよいかもしれません。将来のキャリアアップを実現できるかそうでないかの大きな分かれ目となり得ます。