従業員が働きやすい職場作りは、従業員の定着や組織の業績向上にも直結します。どんな職場に働きやすさを感じるかは人それぞれ異なりますが、一人ひとりが高いモチベーションを持って働くことができれば、業務生産性の向上やパフォーマンスの最大化につながるでしょう。

しかしながら、多くの日本人は会社に働きやすさを感じていません。ロバート・ハーフが日本のプロフェッショナル2,000人に対して実施した雇用調査によると、職場の幸福度は平均70点(100点満点中)となっており、多くの課題が残っています。人材不足が懸念されている昨今、企業にはより健全で働きやすい職場作りに努めることが求められています。そこで今回は、雰囲気が明るく働きやすい職場への変化を促す9つのアイデアをご紹介します。

働きやすい職場とは

そもそも、「働きやすい職場」とはどのような職場を指すのでしょうか。厚生労働省では、働きやすい職場環境に以下の見解を示しています。

  • 労働時間・給与などの労働条件や福利厚生が良好であること
  • 職場で自分が期待されているという意識が持てること
  • 働き方が柔軟に選べるといった要素があること

働きやすい職場環境づくりによって、従業員の就業意欲・定着率が向上し、さらに企業業績アップにも効果が得られるとしています。

参考:厚生労働省「働きやすい・働きがいのある職場づくり」

世界的に見ても、従業員の健康の促進と保護に努める企業は高い社員定着率を誇り、長期的に業績と競争力に優れていることが実証されています。

参考:世界保健機関(WHO)「Healthy workplaces:a model for action」

近年はライフスタイルの変化や価値観の多様化により、企業が設定した就業ルールに合わせるのではなく、従業員一人ひとりが抱える事情を加味した、柔軟な対応が求められています。例えば、コロナ禍以降はテレワークが普及しましたが、在宅勤務の環境整備によって、通勤ストレスの解消、家事や育児といったワークライフバランスの実現につながっています。リモートワークの選択肢を従業員に提供するための方法はこちらの記事を参考にしてください。

働きやすい職場づくりのポイント9つ

ここでは、従業員にとって働きやすい職場をつくるために役立つ9つのポイントを紹介します。一度に全てを実現するのは難しいかもしれませんが、出来ることから1つずつ実践してみてください。

1. 従業員の自主性・創造性の尊重

厳しい就業規則や指揮命令によって、従業員の自主性や創造性を奪っていませんか?必要以上に行動に制限をかけてしまえば、モチベーションの低下を招いたり、職場に嫌気がさして転職してしまったりするリスクも高まります。

マネージャーは常にメンバーの考えや意見を尊重し、各自の判断に委ねる一定の裁量をもたせるなど、従業員の生産性とやる気の向上に重きを置くべきです。それによって優秀な従業員が定着し、長期的な組織成長につながります。

働きやすい職場の実現には従業員一人ひとりの協力が欠かせません。従業員からも職場改善のアイデアを募るなどして、一体感を持って職場づくりに取り組むことが大切です。部下に仕事を任せる方法はこちらの記事を参考にしてください。

2. 古いIT機器の買い替え

いつ購入したか覚えていないほど古いPCを使っているようであれば、早急に買い替えましょう。古いデータが保管されたPCは動作も遅く、データ処理にも時間がかかります。買い換えにはコストがかかりますが、古いPCを使い続けるメリットは全くといっていいほどありません。むしろ、生産性の低下や就業ストレスの増加、セキュリティトラブルリスクの増加に影響を及ぼします。

デジタル技術の目覚ましい進歩のおかげで、PCやモバイルデバイスは数年前とは比べ物にならないほど、高性能かつ高機能になってきています。それらを導入するだけでも、従業員のストレスは緩和され、働きやすさを感じられるでしょう。

3. 従業員の健康促進

心身ともに健康な従業員ほど、生活や就業に対する満足度が高く、職場で十分な力を発揮してくれます。従業員の健康管理を個々人の責任の範疇とするのではなく、企業は従業員の健康増進に積極的に関わるべきです。

企業ができる取り組みの例として、スポーツジム会員費の補助、部活動の発足、禁煙奨励、自転車出勤の奨励などが挙げられます。特に平均年齢が高い職場や、体力を使う仕事ほど、従業員の健康管理に重きを置くべきでしょう。

4. 人間関係の改善

職場で起きる問題やトラブルは人間関係が起因であることも少なくありません。従業員同士のいざこざ、パワハラ、セクハラ、モラハラなど、事の大小にかかわらず職場の人間関係は多くの従業員が抱える悩みのひとつです。

従業員同士がお互いを尊重して協力し合い、自らの強みや能力を出しあえる職場では、より大きな成果が生まれやすくなります。マネージャーは、普段からチーム内で問題が発生していないか気を配り、何かトラブルや問題が発生している場合は、解決不可能になる前に、早急に手を打つ必要があります。

その際は、どちらか片方の言い分を聞くのではなく、双方の意見に耳を傾け、解決策の提案も含めて仲裁役に徹することが大切です。

5. マイナス要因の排除

社内にマイナスの影響を及ぼしている人はいませんか?愚痴や不満ばかりこぼす従業員、仕事をしない従業員、平気で遅刻・欠勤を繰り返す従業員などです。こうした従業員を放置してしまえば、その他の従業員にも悪影響をおよぼします。

まずは、問題社員本人と対話し、問題行動の背景を聞くようにします。その後、業績査定や研修を通じて本人に改善を促しましょう。それでも行動に改善が見られなければ、懲戒処分も検討せざるを得ないでしょう。

6. 業務効率の向上

長時間勤務が是正され、ビジネスシーンではこれまで以上に効率化が求められています。

例えば、無駄に長い会議、書類に捺印をもらうためだけの出社、見直さずに運用され続ける社内ルールなど、非効率といえる課題はいろいろあります。マネージャーには部署内に存在する課題を放置せず、時代に合わせた変化をもたらすことが求められます。それによって、業務効率の向上や働きやすさにつながります。

7. キャリアアップの機会

従業員が、自社では昇進の機会に恵まれないと感じていれば、転職してキャリアアップしようと考えるのは当然のことでしょう。企業は常に従業員の能力開発や成長に責任を持ち、新しいスキルの習得や担当業務の追加、職場での地位向上といった機会を積極的に与えましょう。

今の組織図的に昇進の空きポストがなければ、新たにポストを作ったり、昇給や柔軟な待遇を提供したりして、従業員の成長と定着の促進に注力すべきです。

8. 業績の評価

明確な評価基準は従業員の就業満足度にも影響します。逆に、従業員が良い仕事をしたり、業績目標を達成していたりするにもかかわらず、評価が変わらなければ、会社に対して不信感を抱くようになるでしょう。

マネージャーは期初のタイミングで従業員一人ひとりと面談し、本人になにを期待しているか、最低限どんな成果を出して欲しいかなどの要望を明確に伝えます。そのうえで、「実現出来た場合にはどんな評価を与えるか」まで目線を合わせることが大切です。

9. 明るい職場に適した人材の雇用

職場の雰囲気は、そこで働く人によって大きく左右されます。そのため全体のバランスや調和を考えた場合、採用してはいけない人材もいます。たとえ、どんなに人手が足りなかったとしても、採用基準を下げたり、明らかに価値観が異なる従業員を雇用したりしてしまえば、職場全体の働きやすさの低下にもつながります。職場で嫌われる人の特徴はこちらをご覧ください。

まとめ

企業は常に、「どんな人を採用したいか」を明確にしましょう。もし、上手く求める人物像を言語化出来ない場合や、思うような人物と出会えない場合は、是非ロバート・ハーフのコンサルタントまでご相談ください。貴社のビジョンやご希望をお伺いした上で、最適な人材ソリューションを提案させていただきます。

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