「ITプロジェクトの7割程度は失敗する」と言われるほど、IT開発を成功させることは難しく、成功に導くための業務分析部門を選任で任さられる人材として近年注目されているのが、ビジネスアナリストです。

従来のビジネスアナリストは業務分析の専門家という位置づけであり、ITを伴わない取り組みも多くなされていました。ここ数年日本ではITを専門としたITビジネスアナリスト(「IT BA」「ビジネスシステムアナリスト」とも呼ばれる)が台頭しており、業界を問わずその需要が非常に高まっています。

この記事では、ITビジネスアナリストの業務内容を始め、採用市場の需要、採用に関する注意点をまとめています。

ITビジネスアナリストの採用を積極的にお考えの企業様は、ぜひ参考にしてください。

ビジネスアナリストとは何か?

ビジネスアナリストとは業務分析の専門家であり、「ビジネスアナリシス(業務分析)」を実施する職業です。

中でもITビジネスアナリストは、ITを利用したデータ解析・分析によって、企業の抱える問題を解決へと導く役割を持つ専門職です。ビジネスアナリストは従来ではビジネス部門に特化した業務であり、ITを伴わない取り組みも行われてきました。

しかし、昨今のITソリューションやテクノロジーの進歩によって、ITを中心とした業務分析と経営戦略に変わりつつあります。経営とITの橋渡し役を担うのが、ITビジネスアナリストです。

ITビジネスアナリストの業務内容は、主に次にあげる内容が中心となります。

要件定義

企業における問題点をまとめ、解決するために具体的にどう進めるのか決めます。

プロジェクトのとりまとめ

社内外含めた関係各所を調整し、プロジェクト全体のとりまとめを実施します。

課題の分析

ITツールを使用し、業務内容の可視化・分析・現状調査・課題分析を実施します。

問題解決の提案

企業のニーズに沿ったベストソリューションへ、プロジェクトを導きます。

ITビジネスアナリストに求められる役割は、IT技術を駆使して経営者や各部門の要求を最大限に高めて成功へ導く「橋渡し役」という面が大きいと言えるでしょう。

ITビジネスアナリストの需要は?

日本の転職市場においてITビジネスアナリストの需要は、非常に高まっています。

ITビジネスアナリストの業務内容について、企業内で同じ役割を担う人材はこれまでにも存在していました。しかし期間限定で職務に就く、もしくは決済範囲が限定された職務であるなど、専任ですべてを担うことはほとんどなかったのが実情です。

その結果、さまざまな問題が生じるようになりました。ITビジネスアナリストを育成してプロジェクトを実施するという意識がなかったため、そもそもの要件定義がしっかり行えておらず、システム開発プロジェクトの多くが失敗するという状況が続いていたのです。こうした状況を受け、昨今では業務分析の専門家であるITビジネスアナリストを企業がこぞって求めるようになりました。

しかし、ITビジネスアナリストは専門職としての歴史が浅いため、経験豊富な人材が少なく、企業からの需要にまったく追い付いていない状況です。

ITビジネスアナリストを採用する際のポイントは?資格・経験・スキル

ここからは、実際にビジネスアナリストを採用する際のポイントを紹介します。

前職での経験とスキルを確認する

ITビジネスアナリストの採用においては、これまでの職歴とスキルが大きなカギとなります。

前項で述べた通り、ビジネスアナリストを専門職として経験してきた人材は少ないですが、企業内においてビジネスアナリストと同様の経験をしてきた方は存在します。前職がビジネスアナリストでなければ、企業内でのプロジェクトを取りまとめた経験が豊富な人材を選ぶと良いでしょう。

取り扱ってきたプロジェクトの内容が自社のニーズに合っているならば、採用におけるミスマッチを減らせます。

以下では、採用時に確認しておきたいスキルについて紹介します。

コミュニケーションスキル

ビジネスアナリストは、関係各所における橋渡し的な業務を行います。各部署へのヒアリングや説明に大きく時間を割くこととなるため、ビジネスアナリストを採用する際は、円滑なコミュニケーションができ、適切な人間関係が築ける人材かどうかを重視すると良いでしょう。

ロジカルシンキングスキル

さまざまな問題点に関して論理的に理解するスキルや、内容を細分化しロジカルな視点で解決するスキルも、ITビジネスアナリストには必須です。

分析・問題解決スキル

業務を分析して解決するのがITビジネスアナリストの重要な職務です。そのため、データ分析と問題解決能力も求められます。この部分の詰めが甘ければ、ベストソリューションを築くには力不足だと判断できるでしょう。

ITスキル

データ分析により判明した改善点などビジネス側の要件をシステム担当者に伝える際に、どこまで実現できるのかなどを正確に把握し、共通言語を使って意思疎通を図ることが求められるためITスキルや知識は不可欠と言えるでしょう。実際にシステムアナリストから開発経験を持ってビジネスアナリストになる人は多いため、前職においてIT開発経験があるかを確認すると良いでしょう。

対象の業界や分野に関するビジネス知識

ITビジネスアナリストにおいて、対象のビジネスに関する知見は非常に重視すべき点です。ソフトスキルやITスキルが十分だとしても、業界全体においての深い知識がなければ、的外れな要件定義を提案して誤った方向へ導いてしまうリスクがあります。

ITビジネスアナリストの年収は?

ITビジネスアナリストの年収は、業界や会社規模にもよりますが、ロバート・ハーフ給与ガイドにおいて、日本国内のビジネスアナリストの平均給与試算が閲覧可能です。採用時の給与に関しては、こちらの内容を参考にしていただくと良いでしょう。

まとめ

ITビジネスアナリストは、専門職として働いてきた人材が少ないのが現状です。しかし、ITビジネスアナリストを専門職として経験していなくても、潜在的な素質を持つ人材は採用市場に数多く存在します。特に日本企業では、独立した職種ではなくても、実際の業務でPMやビジネスアナリストの業務をこなしている人が多くいます。スキルに偏りがある可能性は否めませんが、そうした人材を見つけることは、長い目で見れば自社にとっての大きな利益につながるでしょう。日本の採用市場においてITビジネスアナリストは人材不足のため、採用を希望するならば早めの対応が望まれます。

ITビジネスアナリストを迅速に採用したい人事担当者の方は、ぜひロバート・ハーフまでお気軽にご連絡ください。