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毎月支払う給与は、経費ではなく投資としてとらえるべきです。高いスキルを持つ優秀な人材に適切な給与を投資すれば、従業員のモチベーションが上がり、その力を最大限に引き出すことができます。そして、この投資こそが、変化が激しい競争社会の中でビジネスを成功させる重要な鍵となります。

会社とは、単に社名やオフィスを指すだけではありません。企業を発展させていく推進力として重要なのは「人財」です。 フォーチュン500に選出された企業でも、従業員20人以下の小規模の企業でも、従業員の満足度が低ければ離職率は高まります。そして、適切な報酬は、従業員の仕事への満足度をあげる最も重要な要素です。

また、採用競争が激化する昨今では、競争力のある給与に加えて、休暇やフレキシブルな働き方、福利厚生などの様々な手当も従業員の満足度を高めるうえで重要な要素となっています。

人材への投資を惜しむと企業側に損失が生じる可能性もあります。なぜ競争力のある給与を支払うことが重要なのか、その理由と対策をご確認ください。

日本の労働市場のトレンドと、優秀な人材が高給取りになる理由

売手市場の日本においては、優秀な人材の獲得競争が激化し続けています。ロバート•ハーフの最新の給与ガイドによると、2022年11月の時点で、日本の求職者100人に対する求人件数は135件となっています。グローバルで景気悪化の懸念があるにも関わらず、日本では引き続き人材不足が企業の課題となっており、この傾向は今後も続くと予想されます。

豊富な経験と知識のある優秀な人材は、労働市場における自分の価値を知っています。そのため、自分のキャリアに相応しい企業への転職を選択することができるのです。

このような状況において、競争力のある給与パッケージを提供することは、従業員がベストを尽くすためのインセンティブとなります。また、適切な給与規定を設けることにより企業へのエンゲージメントや忠誠心を高め、企業が従業員を大切にしているという姿勢を示すこともできます。

では、優秀な人材を確保できる真に競争力のある魅力的な給与パッケージは、どのように準備したら良いのでしょうか?これには、まずしっかりと調査を行うことが大切です。ロバート•ハーフの最新の給与ガイドは、業界の中でも一番新しい情報を提供しています。財務・会計、金融サービス、テクノロジーなど、様々な職種の現在の給与相場を幅広く紹介しています。また、業界別や職務別に分類された給与データも確認することができます。これらの情報を、給与体系の見直しに活用しましょう。

定着率が高い企業は、給与も高い

優秀な人材は、他社の採用担当者やヘッドハンターから頻繁にアプローチを受けています。今よりも高い給与を提示され、従業員が引き抜かれてしまうことは珍しくありません。

さらに、最近ではLinkedInのようなプロフェッショナル人材のためのネットワークが発達し、終身雇用が主流であった日本においても、転職が今までよりも身近なものになってきています。優秀な人材は労働市場での需要が非常に高いため、たとえ現在の仕事や職場を気に入っていても、年収などの重要な面で不満を感じていれば、良いオファーを提示してくる他の企業に移ることをためらわないでしょう。ヘッドハンティングなどで重要な役職についていた人材が引き抜かれてしまったら、プロジェクトや業務全体に悪影響が及ぶことは避けられません。そして、このような状況を解決するために、結局は余分な時間とリソースを費やすことになるでしょう。このように、優秀な人材の流出によって起こる損失を理解している企業は、最初から高い給与を提供することで、ビジネスに悪影響が起こる事態を未然に防いでいるのです。

獲得できるのは給与レベルに合った人材だけ

高い知名度やブランド力のある企業は、かつては求職者からの応募が殺到していたため、相場よりも低い給与レベルを提示しているケースがあります。しかし、現在では、そのような会社のために低賃金で働き、長期間勤務して何かメリットを得ようと考える求職者は多くありません。「この会社を、次に良い仕事を得るための踏み台にしよう」と思われてしまい、条件が良い機会があればすぐに転職されてしまうでしょう。

低い給与が企業にもたらす損失

スキルの高い専門職の従業員が退職すると、最終的に企業が支払うコストはその従業員の年収の倍以上になると言われています。

重要な役職に就いている従業員が退職すれば、生産性の低下やプロジェクトの遅れなど業務上で様々な問題が発生します。そして、これらの問題を解決するためには当然コストがかかってきます。また、後任の採用、入社後の研修費用なども必要となります。

これらのコストだけでも企業にとっては大きな損失ですが、さらに離職率の高さは他の従業員にも悪影響を与えます。新たに採用活動をする際にも、企業のイメージにマイナスとなるでしょう。

これらの損失は、優秀な従業員に相応しい適正な給与を出していれば回避できることなのです。

高給取りとなる優秀な人材が、給与意外に重視していること

売手市場で人材不足が続く日本の労働市場では、優秀な人材は自分の価値を自覚しています。そして、自分の価値を正しく評価し、相応しい待遇や手当を提供している企業を選んでいます。ロバート•ハーフの最新の調査によると、2022年の求人倍率は11%上昇しました。

このような状況の中、転職希望者の多くが、在宅勤務やフレックスタイム制度などのフレキシブルな勤務形態を希望しています。優秀な人材の確保に成功している企業は、適正な給与レンジを提供するだけではなく、こういったフレキシブルな働き方や、多様な休暇制度など、給与以外の福利厚生や待遇も整備しています。

また、経験が少し浅い求職者でも意欲を評価し、入社後にトレーニングを行ってスキルギャップを埋めることに成功している企業もあります。求職者は自分の過去の経験を活かしながら新しいことを学び、スキルと経験を積むことができるため、企業に対してのエンゲージメントが高まります。DXが急速に進められている日本では、変革に備えてリスキリングなど従業員の専門能力の開発に投資する企業も増えてきています。

競争力の高い給与レベルを提供して、優秀な高給取りの人材を確保する

求人市場は常に変化しているため、「働きたい会社」として高い評判を得るには、最新の情報をもとに定期的に給与体系を見直して調整する必要があります。離職に伴う損失を考慮し、従業員が貴重な財産であることを再度認識しましょう。

優秀な人材を確保するには最初はコストがかかるかもしれませんが、これは長期的にビジネスを成功させるための先行投資といえます。適正な給与に満足している従業員は、時間とともに新しいスキル、知識、経験を習得し、企業にとってさらに貴重な「人財」となります。

プロフェッショナル人材を獲得し、確保しつづけるためのヒントをご確認ください。