自分が出世したことで同僚が部下になってしまうのは正直気まずいものです。いくら仕事で評価された上での昇格とはいえ、これまで互いに励まし合ったり食事に行ったりした仲からすれば、その後の対応がぎこちないものになったります。

たとえ同僚が部下になったとしても毅然とした態度でリーダーシップを発揮すべきであると頭で分かっていても、元同僚の部下にどのように接していけば良いか悩むことはあるでしょう。

こうした場合、上司としてどのように対処していけば良いのでしょうか。そこで本記事では同僚が部下になった場合の人間関係の保ち方を紹介します。

上司としての心構えとは

上司として部下に接する際は、「上司・部下の関係で、人としての優劣が決まるわけではない」と認識しましょう。昇進は、会社の中で自身の仕事ぶりが評価され、経営者からリーダーが適任と判断された結果であり、あくまでも職務上の役割の違いです。

たとえ同僚が部下になったとしても、今まで築き上げた人間関係が終わるわけではありません。むしろ、それまでに築き上げてきた信頼関係があるからこそ、目標達成のために忖度抜きで意見を交わせるようになります。

上司というと、強いリーダーシップで引っ張るイメージを持たれがちですが、決してそうではありません。上司の仕事とは、リーダーとしてメンバーを適切に管理することであり、チームのあるべき姿や目標達成の道筋を描いた上で、メンバーを鼓舞しながらサポートに回ることです。

上司のためにメンバーが存在するのではなく、メンバーが主体的に業務に邁進するためのサポート役と捉えると、肩の力も抜けるのではないでしょうか。

気まずい人間関係に対処する5つの方法

はじめは慎重に行動する

昇進は多くのビジネスパーソンにとって名誉なことであり、リーダーとして新しいアイデアや取り組みを実行したいと胸を膨らませる方も多いでしょう。しかし、就任後すぐに大きな組織改革に取り掛かるのは得策ではありません。

部下からすれば、いきなり上司になった人間の指示命令は受け入れがたいもの。無理に権限を行使してしまえば、反発に合う可能性もあります。権限は慎重に行使し、最初から大きな決断をして部下を威圧したり、現場を混乱させたりするのは避けましょう。

まずは、メンバーとの信頼関係を築くことに焦点を当てつつ、現場の状況を正しく把握した上で、徐々に自分がチームの成長のために必要と感じることを発信し、実行に移すことが大切です。

気に入られようとせず、公平に判断する

チーム内で話し合うときは、個人的な人間関係は排除します。たとえ仲が良かった同僚が部下であっても必要以上に気を遣う必要はありませんし、賛同を得ようと大げさに振る舞ったり、媚びたりする必要もありません。

また、上司として部下に判断を仰ぐことはせず、最終的な意思決定は上司が行うようにしましょう。なぜなら、メンバーは上司の指示や助言を求めているからです。

上司がメンバーの顔色を伺って優柔不断な態度を示せばメンバーは困惑しますし、特定の部下にだけ意見を求めたりすると他のメンバーから信用を失くす要因となります。

模範を示す

周囲の信頼を集めリーダーとして認められるために最も大切なことは、率先垂範で誰よりも行動し、目標達成に努めることです。遅刻や業務上のミスがないことはもちろん、部下に業務を指示するためにも、自らがその業務のプロフェッショナルでなければいけません。

さらに部下の業務量や何に困っているかを常に把握し、必要に応じて的確にアドバイスしたり、サポートしたりといった視野の広さも求められます。万が一、部下が体調不良などで業務に取りかかれない場合は、残りの業務を巻き取るなど模範となることが大切です。

馴れ合いではなく真の信頼関係を築く

チームは仲間であり、同じ目標に向かって支え合う運命共同体です。そのため互いに良好な信頼関係を築くことはパフォーマンスにも好影響をもたらします。ただし、「信頼関係があること」と「馴れ合いであること」は、意味が全く異なります。

メンバーと良好な信頼関係を築くには、チームのビジョンや目標を明確に立て、借り物の言葉ではなく、自らの言葉で想いとともに共有することが大切です。「自分はこういう未来を創りたい」「そのためにみんなとこういうチームでありたい」といったように、熱意を込めてメッセージすることで、あなたに付いていきたいと考える仲間が現れるでしょう。

はじめから全員の信頼を得なくても問題ありません。たった一人でも協力者がいれば、その協力者があなたをバックアップし、他のチームメンバーに支持を呼びかけてくれるはずです。

チーム構成の見直しを図る

上司としてビジョンや目標を明確に伝えたうえで、適切に業務を振り分け、必要に応じてサポートをすることは大切な役割です。しかし、そうしているにもかかわらず、部下が指示に従わない場合は、その部下をチームから外し、他の部署へ異動させた方がお互いの為でもあります。

そもそも部下とは、上司の指揮命令に従う義務があります。チームを離れるのが昔の同僚ともなれば残念な気持ちにもなりますが、人間である以上相性は避けられませんし、チームのためにも気持ちを切り替えましょう。

まとめ

チームには優れた部下の存在が不可欠ですが、かつて仲の良かった同僚が自分の部下になることで、人間関係にひびが入ることを恐れる方も多いでしょう。しかし、互いに気を遣うあまりパフォーマンスが下がってしまえば本末転倒です。上司は誰が部下であっても、毅然とした態度で業務に邁進しチームを目標達成に導くことが求められます。

もちろん部下と信頼関係を築けなければ、反発にあったり、指示を守らなかったりとチームとして機能しなくなるリスクもあります。部下によって、上司に対して抱えている不安や要望が異なるため、一人ひとりとしっかりと対話し、信頼関係を築くことが大切といえるでしょう。

優秀な部下が自らの能力を最大限に発揮するには、自分が大切にされていると部下に感じてもらうことです。そのためにも、適切なコミュニケーションを心がけ、やりがいのある業務を割り振るなどして、モチベーションを高めることが大切です。幸福度の高い社員の特徴はこちらからご覧いただけます。

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