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昨年頃から欧米のテック業界などを中心に、グローバルで大規模なレイオフのニュースを聞く機会が増えました。一方で、日本の労働市場は現在も依然として売手市場となっており、このトレンドは2023年もつづくと予想されています。 世界的に景気後退の可能性が懸念されているにもかかわらず、日本では慢性的な人材不足がつづいており、特に専門性の高い人材の需要は非常に高くなっています。このため、様々な業界で企業は空いているポジションの補充に大変苦労している状況です。

人材不足の課題がなかなか解決できない現状において、企業はどうすれば優秀な人材を確保し、定着率を上げることができるのでしょうか? 今回は最新の給与ガイドを基に、日本の労働市場の現状や給与体系のトレンドをご紹介し、優秀な人材確保を実現する戦略のヒントをご紹介します。

 

1. 日本の現状と、給与体系モデルのトレンドを把握する

最近ではインフレの影響により、日本でもあらゆる面で生活費が上昇しています。このため、以前にも増して、給与は人材確保における重要なカギとなっています。求職者の多くが最初に気にかけるのは給与であり、採用担当者も優秀な人材の関心を引くために面接で給与を先に伝えることは少なくありません。

また、優秀なプロフェッショナル人材は、労働市場における自分の価値を理解しています。つまり、自分に数多くの選択肢があることを知っているのです。

こういった状況において、優れたエキスパートを採用したい企業は、まず適切なレベルの給与を提示する必要があります。求人サイトに目を通して、同じ地域や業界における競合他社と報酬を比較し、魅力的な給与や手当を準備しましょう。信頼のできる人材紹介会社や企業の雇用担当者など、人事のプロフェッショナルに情報収集のアドバイスを求めるのも良いでしょう。情勢を把握すれば、優秀な人材を確保できる可能性が高くなります。

そして、既に社内に存在する貴重な従業員を逃さないことも大切です。他社から引き抜きの声がかかる前に、適切な評価を行い、給与の見直しを行いましょう。適切な給与規定を設けることは、企業が従業員を大切にする姿勢を示す具体的な方法であり、従業員のエンゲージメントを促進し、忠誠心を高めます。

ロバート・ハーフが公開している最新の給与ガイドは、日本における雇用と報酬のトレンドを包括的に紹介しています。平均的な給与のレベルに関して、業界別・職種別に信頼性の高い情報を確認し、最新の給与体系モデルを理解しましょう。

2. 給与以外の魅力的な手当、フレキシブルな働き方も検討する

競争力のある給与モデルは、優秀な人材を惹きつける方法の一つです。しかし、ニューノーマルと呼ばれる新しい時代の求職者は、給与以外の諸手当や働き方の柔軟性も重視しています。賞与、福利厚生、リモートワークやフレックスタイムの有無、仕事のやりがいなど、総合的に考慮して就業先を決めているのです。

このような傾向がある中、優れた人材の確保に成功している企業は、スマートフォンやタブレットの支給、多様な休暇制度の導入、さらには海外勤務の機会など、積極的にさまざまな新しい手当や働き方を提供しています。

より優秀な人材を確保できるよう早急に行動を起こし、フレキシブルな働き方を用意するとともに、福利厚生や各種手当を充実させましょう。

3. 従業員の教育に投資する

すべての経験と知識を持つパーフェクトな人材を見つけることは簡単ではありません。人材不足を解決するために、企業は採用時に求職者の「伸び代」も考慮すると良いでしょう。そして、入社後に社内研修などを準備し、専門的な能力の開発へ投資を積極的に行いましょう。

また、今いる従業員のキャリアパスを確認し、それぞれどんなスキルを持っているのかを分析した上で人材配置を見直すことも大切です。従業員と研修や昇進の可能性をよく話し合い、必要なトレーニングの機会を与え、定着率を高めましょう。

4. 人材を経費ではなく資産と考える

採用や従業員の教育には、確かにコストがかかります。しかし、必要なコストを投資することにより、従業員はより優れた「人財」へと成長し、知識、経験、忠誠心を持って企業に付加価値を与えてくれるでしょう。自分の仕事に満足している従業員は、新しいスキルや知識、経験を身につけることで、時間とともにその価値を高めていきます。

一方で、重要な役割を担う人材が退職してしまうと、重要な業務が止まってしまったり、プロジェクトのスケジュールが遅れたり、他の社員の負担が増えたりするなど、多くの課題を抱えることになります。そして、企業は結局、これらの課題を解決するために必要な時間とリソースを追加で支払うことになるのです。

競争力のある給与体系とは?トレンドに合わせた戦略を構築しましょう

優秀な人材は、採用担当者やヘッドハンターから頻繁にスカウトを受けています。最近では、LinkedInなどの新しいジョブネットワークが誕生し、そのプロセスは以前よりもさらに容易になりました。このため、現在の雇用市場は、非常に流動的です。

たとえ、能力の高い従業員が自分の仕事を愛していたとしても、競争力のある給与で報われなければ、他社からのより良いオファーを受けることを検討するでしょう。

売手市場がつづく日本では、求職者は転職する前から給与や、福利厚生、働き方、その他の手当について高い期待を持っています。 人事担当者は、最新の給与ガイドを利用してリサーチを行ってください。給与体系モデルを定期的に見直して必要な調整を行い、求職者や従業員にとって魅力のある企業であることを伝えましょう。