新型コロナウイルスのパンデミックや感染拡大を防止するために、テレワークを推進する企業が増加しました。在宅勤務を余儀なくされる状況下で燃え尽き症候群になる人が後を絶たないことを、マネージャーとして見逃すわけにはいきません。

そこで、なぜテレワークが原因で燃え尽き症候群になるのか、事前に防止する手だてや解決策などを紹介します。

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テレワークによる燃え尽き症候群とは

燃え尽き症候群は英語で「バーンアウト」と呼ばれ、テレワークによる燃え尽き症候群はテレワーク・バーンアウトといわれて社会問題化しています。燃え尽き症候群の元々の意味は、それまで学校の部活動や仕事なら大きなプロジェクトという目標に向かって精一杯力を注いでいた人が、部活動を引退した後や仕事を終えた後に、過剰なストレスから解放されて無気力状態になることです。テレワーク・バーンアウトは2020年頃から増加しています。2020年8月にアメリカの労働者を対象とした調査では、58%の人が燃え尽きを実感しており、同年3月に調査したときよりも15%増加しました。

テレワークによる燃え尽き症候群が起こる原因

テレワークによる燃え尽き症候群が起こる原因はいくつか挙げられます。

1. 在宅勤務はオンとオフの区別が付けにくい

会社に出勤して決められた時間に働くスタイルは、仕事の時間と場所がしっかりと区切られているので、働く時間、オフの時間を区別しやすいです。しかし、在宅勤務の場合は、オンとオフの区別が付けにくく、いつから仕事でいつからオフなのかが明確ではないことも多々あります。

2. 仕事で成果を上げなければならないというプレッシャーが大きい

新型コロナウイルスのまん延やロックダウンなどに伴い、職を失う人が増加しています。仕事で成果を上げられなければ、いつ自分もいつ職を失うか分からない、という漠然とした不安を抱えながら仕事をしている人は少なくありません。

3. 仕事の集中力を高めることの難しさ

在宅勤務の場合は、家族と同じスペースで仕事をせざるを得ない環境にいる人も多く、その中で会社で仕事をするときと同様の集中力を以て生産性を上げることは簡単ではありません。在宅勤務をしていると、家事や育児などと切り離した仕事時間を持つことが難しい人もいるでしょう。仕事をしながら家事や育児、家族の送迎などをこなしていれば、当然仕事の効率は落ちてしまいます。決められた時間内に仕事が終わらなかった場合、終わるまで仕事をせざるを得なくなるのです。

4. 社会との接点が仕事だけになる

外出が制限され、仕事をテレワークで行うと、社会との接点は仕事だけになりがちです。会話をするのは家族だけ、という人もいるでしょう。家族以外のつながりは、仕事上のメール連絡だけという状況だと、つい時間外でも仕事のメールを見てしまうという人も少なくありません。

テレワークによる燃え尽き症候群を事前に防ぐ方法

テレワークによる燃え尽き症候群にならないよう、社員自らが心得ておくとよいポイントを紹介します。

1. 意図的にオンとオフの切り替えを自ら作り出す

テレワークは、会社に行って仕事をするという流れや区切りを作りにくいからこそ、自分で意図的にオンとオフの切り替えを行うことが大切です。テレワークならパジャマで仕事をすることも可能ですが、仕事用の洋服に着替えることで意識を仕事モードに切り替えることができます。また、通勤の代わりに近所の公園を散歩する、などのルーティーンを取り入れることも効果的です。勤務時間が終わったら音楽をかける、ストレッチをするなどもオンとオフの切り替えに良い行動パターンになります。

2. 自分なりの仕事をしやすい時間を見つける

在宅勤務は会社に勤務するときのように勤務時間がしっかり区切られているわけではありません。仕事中に家事や育児などが割り込むこともあり、仕事を中断せざるを得ないこともあるでしょう。がんじがらめに何時から何時は仕事をする、と決めるのではなく、自分なりに仕事をしやすい時間を設定し、たとえば電話に出られない時間帯は電話を受けられない旨を自動返信するなどして、仕事に集中できる環境を作っていくとよいです。

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テレワークによる燃え尽き症候群に対して企業側ができる解決策

社員がテレワークによる燃え尽き症候群にならないために、企業側ができる対策を紹介します。

1. 仕事の長さではなく成果を評価する

社員にとっては、自分が行った仕事を正当に評価されていると感じられることや、報酬が自分の貢献に見合ったものであると実感できることが燃え尽き症候群を防ぐことにつながります。仕事をした時間の長さではなく、仕事の成果を評価基準にしていくことも有効です。特に良い成績を残した社員に対しては、部署ごとの会議で表彰する他、社内SNSなどのコミュニケーションツールを利用して広く知らしめることで、当該社員のモチベーションを高めることができます。

2. マネージャーは社員とのコミュニケーションを心がける

在宅勤務やテレワークでは、会社で共に仕事をする場合と比べてコミュニケーションが希薄になりがちなため、社員が燃え尽き症候群に陥りそうになっていても気づきにくいです。1on1ミーティングを通じてマネージャーは社員が抱えている悩みを共有し、フィードバックを行いましょう。定期的に従業員エンゲージメントアンケートを行うことで、社員の仕事に対する意欲や達成感、健康状態やストレスについて把握することも大切です。

テレワークによる燃え尽き症候群を防止するには社員とマネージャーとのコミュニケーションも必須

テレワークは会社に出勤して仕事をする場合と比較して、他の社員やマネージャーとのコミュニケーションが希薄になりがちです。オンとオフの切り替えが難しく、オフのときでも仕事に追われているような感覚を持つ人も少なくありません。社員が燃え尽き症候群になりかけていることを早い段階で察知し、適切な対処を行うためにも、マネージャーは社員とのコミュニケーションを密に取るよう心がけることが大切です。


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