内定の通知は期待が高まり、うれしいものですが、同時に状況によってはジレンマを生むこともあります。新しい仕事を受けるべきか、断るべきか、確信が持てず即決できない場合や自身の進むべき道をもう少し深く検討する時間がほしいと思う場合もあるでしょう。

保留することで悪い印象を与えたり、最悪の場合に内定取り消しとなったりしないためにはどうすればよいでしょうか。

決断できない理由は?

まず、すぐに決めることができない理由を考えます。理想的な仕事であれば、すぐにでも承諾できるはずです。この仕事に足りないものは何でしょうか。どの部分が解決すれば、受け入れられるでしょうか。

次のようなわかりやすい点を十分に検討して見ましょう。

  • ライフスタイルと給与額が一致しているか
  • 自身に合う企業文化であるか
  • 通勤時間の長さに問題はないか
  • 自身のキャリアを発展させるための正しい選択であるか
  • 別の企業からより条件のいい内定が出る可能性はないか
  • 決断する前に確認しておきたい質問はないか

ひとつ一つをじっくりと考えて決断してください。この転職が本当に自分にとって有益であるかどうかを確かめるには、上記がいずれも重要なポイントとなります。この新しい仕事が生活の質に与える影響や、期待できる点に十分注意して自身にとって譲れないものをしっかりと見極めることが重要です。

決断までもう少し時間がほしいと伝えるには?

採用候補者が保留を切り出すことはめずらしいことではなく、理不尽でもありません。転職は人生を変えるものです。面接官から決断を急ぐように言われた場合でも、必要であれば正直にもう少し時間をもらえないか頼んでみましょう。ただしその際に、企業側がさらに圧力を強めたり、候補者を責めたりする場合は要注意です。

保留をお願いするときは、以下の点に気をつけましょう。

[感謝の気持ちを示す]

採用機会が与えられたこと、自分のために担当者の貴重な時間を割いてもらったことに対して感謝を示せば、「保留」が与える負のイメージを和らげる効果があります。承諾への関心を示し、新しい仕事への意欲を伝えておけば、企業側の再検討や採用意思の撤回を防ぐことに役立つかもしれません。

[誠実に、でもほどほどに]

誠実さが最良の戦略となることはあります。別の企業を検討しているのであれば、それを伝えることで交渉の機会が与えられるかもしれません。ただしその場合、その伝え方によっては交渉結果に大きな違いを生むことがあることにも注意してください。正直に伝えることが吉と出るか凶と出るか、十分に見極めてから行動に移しましょう。

ただし特定の理由がある場合、例えば家族の病気や不幸に見舞われたとき、または契約書の内容を専門家に確認してもらっているなどの場合には正直に伝えた方が良いでしょう。

総体的に最も重要なのは、仮にもしそうだったとしても「他社を優先している」、「他社からも内定をもらっている」と受け取られないようにすることです。よく考えて決めるための貴重な時間を与えてもらったことをありがたく受け止め、丁寧な対応を心がけましょう。

[質問・交渉の機会として活用する]

ある疑問点の解決が決断につながるのであれば、遠慮せず質問してください。質問を投げること自体が良い時間稼ぎにもなります。

交渉したい点がある場合にも、これを機に応じてもらえるかどうか相談してみると良いでしょう。なんと言っても企業はあなたに働いてほしいと思って採用を決めたわけですから、候補者側が多少は優勢です。ただし交渉を実行に移す前に、希望を明確にして、無理のない合理的な期待値を設けましょう。

[期限を設ける]

ほとんどの場合、期限つきの延長であれば快く応じてもらえるはずですし、自身にとっても有益です。ただし、決めた期限は必ず守ります。守らない場合には良好な関係が大きく傷つくことになりかねません。

内定を保留できる期間は?

待ってもらう時間の長さは、職位の高さによります。たとえば初級職務者が2週間の猶予を申し出ても良い反応は得られそうにありませんが、上級職者でさらに転居が必要な場合などには、家族と相談する時間として2週間の猶予を依頼しても合理的な要求だと捉えられるでしょう。

若手従業員の場合は2~3日が限度ですが、もう少し職位が高い場合、さらに家族の生活にも大きな影響を与える場合は1~2週間程度とするのが妥当です。

一連のやり取りは丁寧に、社会人らしい態度で行い、必要以上に待たせることは慎みましょう。不誠実な行いは誰が見てもわかります。取り返しのつかない事態にならないよう、関係する人々の時間を尊重し、決断後はできるだけ早急に企業に知らせることが大切です。

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