日本でも、数年ごとに転職してキャリアアップしていくことが、以前より一般的になりました。辞める理由は、より良い報酬、新たな挑戦、より良い職場環境などさまざまですが、理由は何であれ、転職するとなれば、多くの人が気まずいと感じる会話をしなければなりません。

正しい会社(仕事)の辞め方を知っていることは、スキルのひとつです。他のスキルと同じように、前もって準備しておくことで、いくらか簡単になるものです。このガイドでは、退職の際に踏むべき手順を解説し、新しい勤務先にスムーズに転職するための仕事の辞め方についてご紹介します。

仕事を辞める何日前に申し出なければならないか

辞め方の計画を立て始める前に、勤務先の退職に関するポリシーを知っておくことが重要です。多くの場合は、雇用契約に記載されています。あるいは、人事部に問い合わせることもできます。

残される上司や同僚にしてみれば、2週間前というのはあまりにも唐突です。そして、業務の引き継ぎには十分とはいえないかもしれません。そこで、できるだけ早めに通知することで、チームがスムーズに引継ぎができるようにするのがベストです。

このため、少なくとも1カ月前に通知するのが決まりとなっています。1カ月前であれば、最低期間であり、欠員を補充するうえでも十分な期間がとれます。とはいえ、会社や同僚と良好な関係を保って円満に退職するには1カ月以上の期間が必要だと感じるのであれば、もちろんそうすべきです。

雇用契約で期間が定められていて、開始日と終了日が規定されているのであれば、契約を早期解約するだけの十分な理由がなければなりません。法的にどれだけ事前に通知しなければならないかは、契約の長さによるため、自分が署名した雇用契約に記載された退職規定と民法の両方を知っておくことが重要です。

期間が固定された契約を早期解約すれば、雇用主から損害賠償を請求される可能性がありますので、一般的には、契約期間を満了することが推奨されます。

いつ、どのように上司に伝えるべきか

上司に伝える際は対面して話すのが、常に好ましい方法です。メールや電話でこの種の通知をするのは無礼だと考える人もいます。ですから、会社を辞めると決めたのであれば、直属の上司と二人だけで話せる場を持つ必要があります。

その際は、タイミングを見計らうべきです。上司にとって多忙な時期なのであれば、少し落ち着くまで待つか、プロジェクトが無事に完了して良いムードの時を選ぶのがベストでしょう。上司にミーティングを要請する際は、タイミングの良い時を上司に選んでもらうようにすべきです。

多くの人にとって、上司に退職の意向を伝えるというのは、難しい会話です。基本的なガイドとして、まずは当たり障りのない世間話をして、それから仕事を辞めたい旨を上司に伝えて、話の本題に入ります。自分の要求をその際に伝えた方が礼儀正しいと思えるかもしれませんが、そうすべきではありません。交渉の余地があるかのように上司に受け止められてしまう可能性があるためです。

このミーティングでは、重要なチームメンバーであるあなたに対して、上司が次のような質問をするかもしれません。

  • なぜ辞めるのですか?
  • 退職後は何をするのですか?
  • この会社を良くするために、私たちに何ができますか?
  • 退職を思い留まってもらうために、私たちに何ができますか?

これらの質問への答えを考えておくべきです。例えば、転職先が決まっていることを前もって同僚に話すのは適切ではないかもしれません。きっぱりと、誠実に、ただしポジティブに話すことです。将来何らかの仕事でこの上司とかかわることがあるかもしれません。そのため、上司(そして会社!)との良好な関係を保つように、このミーティング(話)を運びます。前の上司にレファレンス(推薦者)になってもらえれば、キャリアアップの大きな武器になることも、忘れてはなりません。

このミーティングでは、次のようなことも心がけます。

  • できれば、退職の期日を確定させます。会社のポリシーによっては、このミーティングでは退職日を確定させられないかもしれません
  • 辞める前にしなければならないことを尋ねます
  • 可能であれば、引継ぎ者へのトレーニングを手伝うと申し出ます

そして、上司に時間を取ってくれたことへのお礼を言って、この会話を締めくくります。適切であると感じるなら、メールでフォローアップして、会話の内容を確認します。

上司に伝えるよりも前に、また退職が確定するよりも前に、同僚にこのことを話すのは、礼を欠く行動です。適切な時まで、同僚に話すのは慎みます。

上司に伝えた後は何をすべきか

【退職願を提出する】

上司との会話を終えたら、退職願でフォローアップする必要があります。これはシンプルかつ単刀直入な内容で大丈夫です。ありがたいことに、定型の退職願を用意している会社も多数あります。分からなければ、正式な退職願の提出方法を上司に尋ねてください。退職願を完成させたら、もう一度、上司と二人だけのミーティングして、正式に手渡します。この機会に、先のミーティングで聞きそびれた詳細などがあれば、あらためて最終確認すると良いでしょう。

【引き継ぎのための資料を作成する】

引継ぎ者へののトレーニングに立ち会うことができるとしても、重要な情報をすべて記載した詳細な引き継ぎ資料を作成すべきです。これを書く際は、あなたの担当業務についてまったく知識のない人が読むものと想定して説明します。盛り込むべき内容は、以下のとおりです。

  • あなたが担当している日々の業務
  • プロジェクトの概要:それぞれの背景情報と進捗状況、引継ぎ者が担当する業務のステータス、関係者の連絡先情報
  • 業務、責任、スケジュールや期日を明確に示したワークフロー(業務の一連の流れ)や図解
  • 職務中に役に立つと感じたあらゆる情報

詳細を記載するほど、引き継ぐ人は学習しやすくなります。

【会社の機器や備品を返却する】

ちょっとした記念に何かひとつぐらいもらいたいと思うかもしれませんが、すべて返却するのが賢明です。健康保険カード、セキュリティまたは身分証カード、鍵、会社のマニュアルや資料、フラッシュドライブなどの小型電子機器、ノートパソコン、会社の携帯電話などを支給された場合は、それらも返却します。

【最後まで気を抜かない】

最終日が近付くにつれ、ついつい気が緩みそうになるかもしれませんが、「立つ鳥跡を濁さず」です。与えられた仕事は、できるかぎりすべて完了します。今は気を抜く時ではありません。

【同僚へのささやかなプレゼントを用意する】

同僚と一緒に仕事をしながら学んだ時間へのお礼の気持ちを、ちょっとした贈り物で示します。高価である必要はありません。気の利いたお菓子、カード、茶器などが適当かもしれません。チームへの気持ちであると同時に、良好な関係を保って会社を辞める方法でもあります。

【離職票を依頼する】

転職先が決まっていなければ、離職票が必要になります。これは、雇用保険の失業給付を受けるために必要な書類です。これをどのように受け取れるかを、上司に必ず尋ねてください。

最適な職場探しをお手伝いいたします。