マネジャーとして従業員の昇進の時期や根拠を見極めるのは重大な役目です。 早くから重大な役や責任を与え過ぎると圧倒され、新しい役職への意欲や自信を失います。対照的に優秀な人材に同じ役目を与え続けると、その会社に見切れをつけられ離職に繋がりかねません。

ここではどのように従業員の昇進に応じるか、また長年昇進出来ていない従業員への対応もみていきましょう。

昇進のタイミング

候補者をプロモーションの選抜候補者名簿へ入れる時、チーム内のリーダーシップ力は有力な選抜材料となります。チームメンバーをやる気にさせ、活力を与え、必要に応じて同僚の良きメンターとなれる従業員は企業の将来を担う人材となるでしょう。また、挑戦的でやりがいのあるプロジェクトを求める意欲やそれを成功させてしまう行動力も選抜基準に当てはまります。どのように特別なプロジェクトに貢献したのか見つけ出し、従業員の本来もっている強みを最大限に活かせるポジションへの昇進が望ましいです。

正式にポジションを与えられていなくても、役割以上の責任や業務を遂行している従業員がいるかもしれません。そのような従業員は真っ先に昇進の候補者にあげるべきで、もし昇進/報酬が望めないようでは離職に繋がりかねません。

従業員の昇進において考慮すべき事項は組織に「とりわけ」貢献した事実を記録しておくことです。これは毎日夜遅くまで残業をしている従業員のことではなく、効率的な業務の遂行・問題解決、生産性や顧客サービスを飛躍的に伸ばし、効率的な業務運営を率先して行う従業員のことを示します。

このような人材は会社の財産となりうるので、違う分野で昇進させたり、努力を認知することで会社への忠誠心を育めるでしょう。

どのように昇進を伝えるべきか

会社の規模によりますが、まず昇進が決まった従業員本人にそのことを伝えます。昇進を祝福し、新しい役職の概要・年棒・責務について提示します。なぜその従業員が昇進することになったのか言及することが大切で、そのスタッフが持つ能力の価値や会社への貢献を具体的に示します。これにより、どのような行動が評価され、会社の業績へ貢献するのかが明確になります。

従業員達に日頃の努力に感謝すると共に、いつ頃・どういう基準で昇進が決まるのかをアナウンスすることで、他の従業員達の心構えができます。

昇進の発表が済んだら、個別に呼び出して正式に書類を渡します。昇進の概要や新しい役職の責務、昇進へ繋がったスキルや実績など記した記録を渡します。

着任後の数週間は新しい役職でどのように責務を果たしているか/ 不明確なことがないか確認し、より早く期待されている成果を発揮をできるよう手助けが必要です。

チーム内での発表

昇進は日頃の頑張りの成果です。昇進者を称えるとともに周りからの理解も得られるように配慮しましょう。

チームへの発表はメールで行われることが一般的です。昇進に至った経緯や根拠などはしっかり伝えましょう。どのようにしたら昇進できるのか同僚にとっては興味深いことです。昇進するにあたりどのような貢献があったのか、企業が昇進者を選抜する際に着目している点なども明記しておきましょう。

定期的にチーム内会議を開催しているのであれば、その時に昇進の発表・チーム内の業務編成について話し合い、今後の業務に支障/困惑/混乱がないようにしましょう。他の昇進について良く思わない、もしくは疑問視する者もいるかもしれません。チーム内の亀裂とならないようにしっかりと話し合いの場をもち、穏便に済ませましょう。

昇進とならなかった場合

悪い知らせを伝えることは容易ではありませんが、いかに野心を傷つけず、転職する気にさせないようにすることも可能です。そのポイントは率直で誠実に将来の指導をすることです。今回惜しくも昇進を逃したとしても忠実なアドバイスをすることで企業に残り、キャリアを築こうと思ってもらうことも可能になるからです。

話し合いを始める時は共感しながら昇進を逃したことを伝えましょう。どんなにその役職を望んでいたのか気持ちに寄り添い、どうして昇進とならなかったのか経緯を誠実にフィードバックします。その新しい役職にスタッフが未熟と判断されたかもしれません。若しくは経済的な理由や昇進可能なポジションが少なかったこともあげられます。

どのような道筋をたてればもっと有力な候補者となれるのか、会社の制度を使って可能性を高めることも可能かもしれません。
例えば、「業界の会議に参加してくれる候補者を探していて、参加することで良いチャンスになると思います」このようにキャリア形成の手助けをしてくれていると感じ取る機会を与えることもできます。

昇進もパフォーマンスマネジメントに欠かせない要素の一つです。野心旺盛なスタッフはキャリアの様々な段階で昇進の可能性を秘めているでしょう。従業員のスキル、コミットメント、貢献がどのように昇進に関わってくるのか、またどのようなトレーニングや能力開発を行えば個々の能力を伸ばし、昇進につながるサポートができるのかを理解しましょう。