転職・退職引き止めとは、豊富な経験、価値が高い、才能がある従業員の退職が企業の痛手となる場合に、退職や転職が決まった従業員に好条件を慰留することです。

しかしこれにはリスクを伴う可能性があり、大部分は大規模なスタッフの定着問題に対する根本的な離職防止にはほとんど効果的な解決策がありません。従業員の定着率を向上させることができない5つの理由は以下の通りです。それらがチームに悪影響及ぼす可能性があります。

① すでに心が離れている

転職を決めた従業員は、すでに勤務先に見切りをつけています。報酬の増額で思いとどまっても、それは金銭的な理由であり、仕事のやる気が維持される保証はありません。

② いずれ辞める

従業員の多くは、さらなるキャリアと評価を求めて転職します。慰留に応じても、社内にキャリア機会やレコグニション制度がなければ、数か月後にはまた転職先を探すことに。いずれ辞めるなら、初めから新しい人材を探す方が時間もお金もお得です。

③ 退職引き止めが危険な前例に

ある従業員が引き止めによって好条件を手に入れれば、他の従業員も同じことを考えます。こうなると、カウンターオファーは転職を掲げて交渉を有利にする道具でしかありません。

④ 新しい人材を見逃す原因に

新規採用は、企業に必要な新しい知識と経験をもたらし、退職引き止めは、既存のスキルや経験に基準以上の給料を支払うことに。慰留前に、必ず新しい人材を探してみましょう。

⑤ 関係悪化

最大の問題はチームへの影響です。退職引き止めが、チームの緊張と不信感を生み、結果的に従来の絆を失うことがあります。

  • 残留従業員が批判的な場合

職場に戻った従業員の状態によっては、チームに士気低下を招くことも。同僚間の自信や生産性が低下し、率直な意見交換が難しくなることも。

  • 不満を誘発

慰留によりある従業員の年俸が増えたら、同じ肩書の従業員の心情は?引き止めは既存契約で働く従業員の不満を誘うことがあり、今後そうした従業員をも他社に向かわせかねません。

  • 戦略の練り直し

従業員が戻ったチームには、通常業務やプロジェクトの時間を犠牲にし、従業員間の不満や当該従業員のやる気を考慮した新戦略の構築が必要になります。

このように退職引き止めは、従業員の心を乱し、職場の絆を損なうという、単なる経済コストより大きな悪影響があるのです。